「ぼくの映画。 ~学園一の美少女をヒロインにキャスティングしてゾンビ映画を撮ろう~」の感想

ぼくの映画。 ~学園一の美少女をヒロインにキャスティングしてゾンビ映画を撮ろう~ (メディアワークス文庫)

金子 跳祥 KADOKAWA 2016-12-22
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by ヨメレバ

 bookwalkerさんにて購入して読み始めたところ、面白くて一気に読了してしまった作品です。
 一人暮らしをしていると本に熱中した時にご飯を食べるのをついつい後回しにしてしまうのがいけないところですね。そんなことを悩ませてくれるほどに熱中して読めた作品でした。


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目次

底辺映画部の情熱

 この物語の主人公達は、冴えない男子ばかりです。
 映画部という名前を聞いただけで想像できるようなメンバーが揃っています。
 映画のヒロインを見つけるために女子に声をかければ泣かれるわ、馬鹿にされるわ、とひどい扱いを受けます。最終的に見つけたヒロインも、仲間に引き入れる手段は正当なものではありません。
 そういう底辺に位置する主人公達が面白い映画を作るという目的に対してどう向き合っていくのかというのが面白い作品でした。
 まじめでも、正義感にあふれている訳でもなく、主人公達は誰かをねたんだりそねんだりします。しかし彼らの映画に描ける情熱だけは本物で、だからこそこの物語は熱く、楽しい作品になっていたのだと思います。
 
 主人公の語りの中には頻繁に映画のセリフが出てくるのですが、まあ多くの映画を見ていなければ全部のネタは分からないでしょうね。
 でもその語りにこそ主人公の情熱が詰まっているので、元ネタを知らなくても楽しく読めました。

 
 最初は誰からも相手にされない映画部だったけど、ヒロインとともに映画制作に向き合う中でヒロインとのキズナが生まれたり、その結果周りからの評価が変わっていったりというカタルシスもありました。
 けどどちらかと言えば、最後に皆からの評価を受ける場面よりも、その過程が個人的には楽しい作品でしたね。
 不器用だけど映画に対する熱意だけはあるメンバーと、それに影響されていくヒロインとの映画制作の日々が大変良いものでした。

 むしろ最後の方、映画部を馬鹿にしていた皆が皆、その評価を改めて映画部の皆に接してくる様子は蛇足なのでは……? と思うくらいでした。オールスター全員集合! ってな具合に作中に出てきた人物が集まってきて「ごめんねー」とか「良かったよ-」とか言ってくるのは、さすがに寒いな、と。
 そこだけ除けば、映画制作に向き合う主人公達の一夏のストーリーとしてきれいに完結していた物語だったと思います。
 
 それでは。
 


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