「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」の感想


青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない<青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない> (電撃文庫)

 「さくら荘のペットな彼女」のコンビで送る新作です。
 とはいえ第一巻の「バニーガール先輩」は2014年春に発売ですから、もう2年間続いてる作品になりますね。

 主人公の梓川咲太が思春期症候群と呼ばれる超常現象の数々に対処していくシリーズです。思春期症候群はバトル系に見かける異能ではなく、ドッペルゲンガーが現れたり、時間がループしてしまったりといういわゆる都市伝説系のものになります。
 そして第一巻は、上級生であり元人気タレントの桜島麻衣さんがバニーガールの格好で図書館にいたのだけれども、誰もそれに気がついていない。でも主人公にはそれが見えていて、先輩の思春期症候群を解決しようと行動する。という話になっています。

 


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 この作品で強烈なのはやっぱり主人公の人格でしょう。
 クラスに話し相手は存在せず、友人と言えるのは2人だけです。でもそれを気にすることもない。
 でも決してコミュニケーションが苦手なわけではなく、思春期症候群を通じて出会った麻衣さんには平気でセクハラ発言を繰り返したりします。わざと空気を読まない発言なんかをしたりもする。
 でも大切なものがちゃんと心にあって、そのためならどんな行動でもできる主体的な主人公です。
 守りたいことにひたむきになれる咲太はかなりかっこいいと思いました。

 この巻は麻衣さんが徐々にみんなの認識から消えていく、という思春期症候群を扱っていますが、ラストの解決法だけが個人的にそこまで納得できていない以外は非常に楽しく読むことができました。
 思春期症候群というネタが面白いのもありますが、終始桜島麻衣さんという一人のヒロインに焦点を当てて物語が描かれていますので、その中で麻衣さんの心の動きや、咲太との関係性の変化がじわりじわり伝わってきてよかったです。
 最初の麻衣さんは自爆も多かったけど、最後の方だともう完全に慣れてきてるな-。と、セクハラ耐性がついていく様子もはっきり伝わってきます。……それはいいのか、悪いのか。

 
 ネタとキャラ、どちらも非常に面白い作品でした。
 タイトルに「青春ブタ野郎」なんてありますが、別に咲太がブタと呼ばれて喜ぶような奴という意味ではありませんから、タイトルで手に取るのをためらった人も読んでみると楽しめるんじゃないかと思います。
 ……まあ麻衣さんにだったらブタと呼ばれても、咲太は喜びそうな気がしますが。


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