つい最近、私はお気に入りのブログでこういう記事を読みました。
ゲーム作りはもっと「使い回しをして欲しい」ーーやまなしの日々
その記事では「レゴ@シティ アンダーカバー」のマップがある程度使い回されていることを基に、マップなどの使い回しについて話されていました。タイトルにもあるように、このやまなしさんという方はマップの流用について好意的な意見をあげています(少なくともこの記事においては)。
ここで私も、素材の使い回しについて考えてみました。
スポンサードリンク
使い回しができるのはレゴシティやスマブラforのような同時期に開発されるもの以外に、主にシリーズが考えられますね。
キャラクターデザインやステージ、他にはキャラクターの動き方なんかの素材も使い回すことができれば、ゼロから作るよりも開発コストは大きく削減できるものと思われます。
特に開発期間が短くなれば、ゲームの発売される間隔もある程度は短くなり、気に入ったソフトの続編を何年も待つ必要なく遊ぶことができるかもしれません。遊ぶ側から見ればそれは嬉しいことです。
少なくとも私は「このマップも前作と変わっていないように見えますが、実は細かいところを色々変えて、ゼロから作っています」などと言われるくらいなら、じゃあそれを作る時間分早く発売してもらいたいと思います。
もちろん発売日は商売上の都合で決められるのですが、ある程度は開発にかかる時間も影響するでしょうから。それを私たちが一番身近に感じるのは、楽しみにしていたゲームが発売延期になったときですよね。ゼルダとか、ゼルダとか。まあ、任天堂はゲーム業界の代表とも言える会社ですから、安易に素材の使い回しをすることはブランド力を下げてしまうためできないのでしょうが。
逆にカプコンは使い回しもそれなりに利用している印象があります。逆転裁判1~3までのキャラや背景だったり、モンスターハンターのステージは完全に使い回されていますよね。
使い回しのデメリットとは、単純にいえば飽きだと思います。
逆転裁判は証人の矛盾を解いていく部分、つまり謎解き、推理の部分が面白いゲームです。であれば証言の矛盾がいつも同じようなパターンだったりすればプレイヤーは飽きてつまらないと感じてしまうでしょう。しかしキャラクターの絵や背景、操作システムが同じでも、逆転裁判の面白さにはまるで関係がないわけです。なぜならそもそも逆転裁判の背景やキャラクターの絵を「楽しむ」人はほとんどいないからだと思います。
モンスターハンターはモンスターを狩ることを楽しみます。であれば一番重要なのはモンスターの動きと、プレイヤーの動きです。ステージのデザインが同じでもモンスターハンターが面白いのは、ステージが一番の要素ではないからでしょう。ただ3から4へ移行するにあたって、3までのステージに段差の要素を加える必要は出てきましたから単純にステージを再利用しているわけではありませんが。
また、モンスターハンターは使い回しの頂点とも言える「G」版を発売しています。もちろん色々なテキスト、数値、装備の数々は変わったり追加されたりしていますが、基本は通常のナンバリングタイトルを使い回しています。これはおそらくモンスターハンターだからこそできる手法なのでしょう。モンスターハンターの魅力の一つは通信プレイです。そして通信プレイは基本的に人がいなければ楽しめません。ゲームで一番盛り上がるのは発売直後であり、モンハンでは、大げさですが発売すること自体がプレイヤーの楽しさにつながっているとも言えるでしょう。ですから使い回しの部分が多くても問題ないのです。
一人なら飽きてしまう部分も、友達となら違った体験になるでしょうから。
上記の例に従えば、ゲームの根幹に関わらない部分なら使い回しは十分許容できるのではないか、と思います。
しかしゲーム業界には結構、使い回しが忌避されるような風潮がある気がします。ゲーム業界はけっこう「任天堂がやってるからうちもやる」という空気があるらしく、任天堂がやってこなかったから他の会社も使い回しはあまりやらないのかなぁということも考えました。
ただ、マリオメーカーという今までの素材をプレイヤーに提供するソフトが登場したことにより、流れが変わることになるかもしれません。……まあ、今のところそんな様子は見られませんが。
さて、リンク先の記事では長い時間をかけて作ったゼルダのマップを色々なゲームに使い回して欲しいという願望(叶うはずもない)で締められていますが、私も似たような想いを持ったことがあるんですよね。
それは「ゼノブレイドクロスの続編を、マップをまるで変えなくてもいいから出して欲しい」というものです。これはゼノブレイドクロスの掲示板などでは意外と多くの人が望んでいたことだったんですよね。
簡単にゼノブレイドクロスの説明します。(多少長くなりました)
ゼノブレイドクロスはWiiで発売されたゼノブレイドというとても評価の高いRPGの続編として発売されました。ただ、続編といってもキャラクターもマップも世界観もまるで違うため、多少の設定と一部バトルシステムを受け継いだ完全新作というのが正しい見方だと思います。
ゼノブレイドはストーリー、広大で作り込まれたマップ、バトルシステムなどが評価されていました。特にストーリー展開は非常に熱いもので、しかもストーリーとゲーム性、音楽、ムービーのつながりがよくできていたため高い評価を受けていました。
ゼノブレイドクロスは前作の広大なマップを更に広く作るというのを当初からプレイヤーに伝えていて、その部分を多くの人は楽しみにしていました。ですがゼノブレイドクロスという名前で発売されるからには、プレイヤーの中にはストーリーを楽しみにしていた人も多かったものと思います。
そして実際に発売されてみると、前作の評価とはまた違った評価を受けることとなります。
悪い部分からあげると、まずストーリーが前作よりよかったと評価する人はほぼいませんでした。好んで悪く言いたいソフトではありませんが、ゼノブレイドでいろいろな場所を旅しながら進んでいったストーリーに比べて、非常に盛り上がりに欠けるストーリーだったと思います。また、クロスでは拠点となる街があって、そこでメインストーリーやサブストーリーを任意に始めるのですが、前作がマップのある場所に移動したり人に話しかけることで違和感なくストーリーが進行していったのに比べて臨場感に欠ける部分もあったと思います。そしてなにより、ストーリーのラストにいろいろな謎と課題を残したまま終わってしまったので、消化不良になった人が非常に多かったのです。
ですが予報通り、マップは非常によく作り込まれたものでした。基本のフィールドはオープンワールド(マップ切り替えがない)で、とても広い上に丁寧に作り込まれていて(隠された洞窟なんかもある)、探検しているときのワクワクは他には代えがたいものだったのを覚えています。さらにストーリーを進めるとロボットに乗れるようになり、高速で移動したり空を飛んだりと、とても魅力的な経験をすることができました。
バトルシステムも賛否両論ですが前作の流れを踏襲した面白いものになっています。ただ後半のバランスはやや大味だったり、非常に効率のよい稼ぎ手段が存在することが問題になったりもしますが……。
……あれ、全然簡単に説明できてない。タイトルを「ゼノブレイドクロス感想」とかにしても違和感ないくらいじゃないですか、やだなぁ。
さて、本当に簡潔に言うなら、ゼノブレイドクロスはマップとキャラクターの動きが非常によくできていて、ストーリーが悪いということになります。
ですから私は「マップと操作感をそのままに、ストーリーを変えてほしい」と思うわけです。言うならばゼノブレイドクロスGです。まあ、モンハンの例で言えば通信要素のないこれは売れないんですけどね。マップと操作感が魅力的だったのにそれは変わらず、それをまるで変えずに新作を出すなんて。
モンハンではプレイヤーの動きなどが変わりましたが、それに対しては「操作感など変わらなくてもよかった。前作と同じでいいのになんでいじるんだ」という意見が出ますが、しかし何も変わらなければ前作を遊び続ければよいということになってしまうでしょう。しかしそれだとプレイヤーは飽きてしまうから、新作を出すにあたってそこを変えるしかないのです。一番の魅力は続編を出すにあたって変える必要があり、しかし変えたことが裏目に出るリスクも高いのです。
ストーリーが面白くてバトルがつまらないゲームがあったとき、クリア後に出た難易度の難しいバージョンを遊ぶでしょうか? ストーリーが適当でバトルがメインのゲームだから、難易度変更が面白いのだと私は思います。重要なものほど、変わることに意義が出るのです。
だからゼノブレイドクロスのマップに非常に満足した人は、クロスGなど買わなくていいし、求めることもないのです。その人の場合はまた新たなマップを求めるでしょうね、おそらく。
私はあくまでゼノブレイドを面白いと思った人の側に立っているのでしょう。先ほども言ったようにクロスのマップなどは非常にわくわくして遊び、WiiUで100時間以上遊んだ数少ないソフトではあるのですが、最終的にストーリー込みでゼノブレイドの方に軍配が上がりました。だからゼノブレイドクロスにもより熱いストーリーを求めてしまうのです。
またゼノブレイドクロスはそこまで売れたソフトというわけでもないので、マップの良さをもっと多くの人に見て欲しいという気持ちもあるのでしょうね。
そういう、いろいろな意味で私はゼノブレイドクロスのマップ素材などを使い回さないのを、もったいないなぁ、と感じてしまいます。高いお金をかけて作ったマップを腐らせてしまっているように感じてしまうんですよね。そして私はそのマップにまだ利用価値と商品価値があると思っているので「使わないなら私にデータくださいよ」とさえ思ってしまいます。まあ、今のところゲーム開発の知識は全くないのでどのみち宝の持ち腐れですが(笑)。
しかしWiiUの開発キットとゲーム作りに関する知識を持っている人で、私と同じようにゼノブレイドクロスのデータが欲しいと思っている人はいるかもしれません。
そうなると、ゲーム素材の権利を他社と売買できる仕組みがあったら面白いかも、などと想像してしまいます。想像の域を出ることはありませんけどね。
まあ、まだゼノブレイドクロスの続編が出ないと決まったわけではありませんし、ゼノシリーズの今後についても長い目で見守っていきたいと思います。
これで書きたいことは書き終わったのですが、気になったことが一つ。私は今まで任天堂ハードにしか触れてきませんでしたが、プレステ系ではマップの、特に3Dマップの使い回しは行われていることなのでしょうか? 3Dマップって結構作るのが大変そうですよね。モンハンでもマップを一から作っていたら新作の登場はずっと期間が空きそうに思えます。(3から4は長かったイメージ。今までのマップをジャンプシステム用に作り直したからか?)
ただ、任天堂ハードで思い当たる3Dマップの使い回しって、モンハンくらいしか思い当たらないんですよね。そもそも完全3Dゲームというのもなかなか発売されないからかもしれませんが、やっぱり使い回しはあまり見ないです。
それで、プレステの3Dゲームではどうなのかなぁと気になったのです。調べるつもりはありませんが、しかしやっぱり少ないのかなと予想しています。
ある意味現状でマップの使い回しに近いのは、定期的に利用料金が取られるオンラインゲームでしょうか。機能やマップを追加していってプレイヤーを獲得している訳ですから、新規で始めようとすれば序盤は数年前のマップの使い回しを遊び、徐々に最近のマップを遊んでいくことになるのでしょう(オンラインゲームをプレイしたことがないので完全な想像で話しています)。ドラゴンクエストⅩやモンスターハンターフロンティアはそんな感じですかね。プレステ系でもファンタシースターなどのシリーズはコンビニで利用券が売られているのを見た覚えがあります。
だからと言って、私はオンラインゲームが増えていって欲しいと思っているわけではありませんがね。あくまでゲームソフトを開発するにあたって無駄な開発コストが減ればいいと思っているし、ゼノブレイドクロスのマップを眠らせるのはもったいないなと思っているだけなので。
さて、語り尽くしました。
リンク先の記事に私が強い関心を示したのは、おそらくWiiUのソフト不足を気にしていたからでしょうね。「NXローンチタイトルに売れるソフトをそろえるためなら、今後WiiUにほとんどソフトが出なくても我慢できるよ」というスタンスが基本の私ですが、任天堂のソフト以外はほとんど発売される予定がないですから、使い回し大量でもいいからWiiUで発売するソフトが増えて欲しいと願ってしまいます。なんだかんだでそれなりの台数WiiUは売れているわけですし、ソフトの少ない今発売すれば競争相手もいないため皆興味を示すと思いますよ。(売れるとは言ってない)
まあなんだかんだゲーム業界の流れはそう簡単に変わるものでもないし、使い回しもあまりに目に余るものが増えるのは勘弁して欲しいですから、現状から変化することはほとんどないでしょうけどね。長い目で見て、今後スーパーマリオメーカーのような、自社の素材をふんだんに活用したソフトが出てくる可能性はありますけど、マップの使い回しなどが多く見られることはないでしょう。
素材の使い回しも悪いことじゃないんだよ、ということで。それを上手く使ってくれたらシリーズもののハードルも下がるでしょうし、そういうのもあっていいんじゃないかな、というのが私の意見です。まあだいたいリンク先と同じ意見ですよね、そこにゼノブレイドクロス語りを加えたくらいで。
それでは。