うにうにうにうに(青田めい)を読みました。読む前から予想していましたが、青田めいさんの作品だけあって面白かったです。
青田めいさんはきららマギカの方でふわっとまどかという作品を描いている人です。ふわっとまどかの方は、名は体を表すといった感じで、だいぶふわっとした絵柄で描かれています。とはいえそんなふわふわした見た目に騙されていると、中身のふわっとピリッとした甘辛味に驚くことになるでしょう。ふわふわした雰囲気の中に時折刺激を差し込んでくる、そんなネタ作りが上手な漫画家さんです。ピリッとしたネタと言っても、下ネタやシュールすぎるネタはほとんどなく、あくまで常識的な範囲で攻めてきます。誰にでも読みやすい、言うならば笑点のような作品となっています。
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主人公は表紙にも出ている、宇宙人のうにです。魚の方じゃありません。女の子の名前です。ちなみに魚の方はシナノユキマスと言うそうです。本編中には登場しませんのでご注意を。
ストーリーの方は、地球に住んでいた宇宙人が違う星に旅立ってしまったのに、うにだけが連絡ミスで置いていかれてしまい、人間の家族、河内家に(半強制的に)居候するというものです。これだけ聞くとうにが進んで河内家に住まわせてもらっているようですが、実際は困っているところを河内家の長女、ユキに無理矢理連れて行かれたに過ぎません。うに自身はみんなの元に返りたいと思っているようです。(が、河内家の居心地がよくて行動には移さない)
河内家には現在3人の人間が住んでいて、一人が長女のユキ姉ちゃん。次に三女のやまめ。そしてやまめと双子の弟、いわなです。主人公はうにだけど、唯一の男であるいわなの目線から物語を見ていることが個人的には多かったかなと思います。
この作品の面白いところは、うにとユキ姉ちゃんという2人の個性的なキャラクターがいるところです。
うには子供っぽくて、また宇宙人であるためどこか常識外れなところも多いですが、たまに現実的になったりするのも面白いところです。ただこの作品の基本的な魅力であるふわっとした雰囲気は、無邪気なうにが作り上げてくれていることは間違いありません。
ユキ姉ちゃんは基本的にいつも笑顔で、何かを企んでおります。うにやいわなに対しては嫌がらせとしか思えない行動を強いたりしていますが、いつも浮かべた笑顔はそれが本気であるような気にさせず、またいわなたちは積極的にユキ姉ちゃんの発言にツッコミを入れているため、作品に陰湿な空気が漂ったりはしません。そういうバランスの調整があって初めて、ユキ姉ちゃんというキャラクターは輝くのでしょう。
一巻では河内家の面々とうにとの出会いから、徐々に仲が深まっていく様子が描かれていました。2巻も出ているのですが、たぶんそれで完結だったはずです。またふわっとまどかは次回で最終回を迎えます。詳しくは調べていませんが、これでしばらく青田めいさんの作品を見ることはできないのでしょうか。それは個人的にはとても残念で仕方ありません。次回作が早くみたいですね。
まんがタイムきらら系列の作品にはあまり絵が上手でない人も多くいます。基本的には漫画は絵が繊細で手がこっているほど良いものだと思います。もちろんそれが全てではありませんが。そしてそれはまんがタイムきららに関しても同じように言えるのだと思います。
しかしうにうにうにうには、きっちり描かれていてはいけないように思います。デフォルメされたキャラクターたちによるふわっとした優しい空間。青田めいさんが本気になったらどれだけの絵を描くのかは知りませんが、少なくともこの作品はこれでいい、と私は感じました。
有名な少年誌などでは読めない面白さを持つ作品が、これからも増えれば良いなと思いました。