「青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない」の感想


青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない (電撃文庫)

 青春ブタ野郎シリーズ第二巻の「プチデビル後輩」です。
 今回は時間がループする、という現象から始まった数奇な物語が描かれます。


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 とはいえ面白いのは、そのループは全体の5分の1程度の分量で終了するということです。
 ループという事態は前巻の引きの段階から明らかになっていたとはいえ、その説明だったりのゴチャゴチャ込みで全体の5分の1ですからそうとうに短い間しかループそのものには触れられていませんでした。
 まあ、ループが終わった=それで解決したとは言えないから大変なんですけどね。
 最後にまたループが起こりますが、この物語のテーマはやっぱり、思春期症候群を引き起こした一人のヒロインと向き合うことにあるのだと感じました。
 見るべきは現象じゃなく、心なんです。たぶん。

 しかし今作のヒロインは前回の麻衣さんから変わって、生意気な後輩です。
 前巻と違って今回は完全にプチデビル後輩こと古賀朋絵の思春期症候群に巻き込まれる形でしたから、咲太も災難です。でもそれでも思春期症候群という問題から目をそらさずに向き合っていくのは咲太の良いところだな、と。
 結局ほとんど思春期症候群とは関係ないところで古賀に振り回される咲太ですが、そうしていく中でお互いの関係が変わっていくところはまた前巻に引き続き面白いところだと思いました。
 まあ咲太は麻衣さんに愛を誓ったわけですし後輩になびくことはありませんが、それでもお互いを知っていく中で相手に対する好意が増していくのは咲太の方にも感じることができました。ケンカのシーンも、前巻までの関係性じゃあ起こらなかったと思いますし。

 しかしラストはちょっと驚きでした。思春期症候群、恐るべしですね。


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