文句のつけようがないラブコメの感想。合わない人はいる、私のように


僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-1)

 文句をつけようのないラブコメを読みました。
 ……いや、つけようと思えばいくらでも文句をつけられますけどね。


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 この物語は好きな人と嫌いな人で別れるようです。サイトの評価などを見ればそれがわかると思います。
 ただ、まあたくさん売れている作品ではあるので受け入れられる人も多いのかなと思いました。

 この物語は120ページあたりまでで評価が決まるのではないかと感じました。
 というのも、冒頭の流れが急すぎる、というのが一つの問題点なのでしょう。

 まず物語は主人公ユウキが神様セカイの元に、供物として捧げられるところから始まります。
 供物と言っても食べられたりするわけでない設定なのは後でわかります。まあそうでなくとも、食べられたら物語が終了してしまいますし、そんな予想はしませんでしたが。

 そして供物となる代わりに一つ、セカイはユウキの願いを叶えてくれると言います。
 そしてユウキは言った。

 「俺と結婚してください」と。

 ……えっと、説明は? と私は思ってしまいました。
ここは序章の内容だったので、この後でここに至る経緯をちゃんと語るものだと思っていましたが、実際はそんなことはなく、ユウキは「気が動転してたからかもな、あんなことを言っちまったのは」みたいなセリフで冒頭のプロポーズを説明するだけです。
 そしてそこから甘々な二人の様子が描かれます。

 正直私は乗れませんでした。
 物語の構成上、唐突すぎるというのが本音です。アニメだったら多少の唐突さとかは目をつむれるのですが、私は、小説はもう少し順序や説明を大事にして欲しいと感じてしまいました。
 けれどリテラシーの問題で本を投げ捨ててしまうのは気が引けるので、120ページあたりまでは流し目で読み進めました。

 そう、120ページあたりから物語は動き始めます。
 そこからの内容は、明かされる設定や二人の愛の逃避行が描かれ、最後にはどうしようもない事実が二人を襲うというものになっていました。

 後半を読んだ感想は、山場もあるし、まあまあ面白いのではないかというものでした。
 ……つまり私にはそこまで合わない作品だったのかなぁと思いました。
 ここで冒頭の部分を素直に受け入れられる人なら、たぶん最後まで面白く読めるものだと思います。


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