8月のセール中にPSnow3ヶ月分の利用券を購入したので、これからPS3のノベルゲーをちょびちょびプレイしていきます。
そしてまず最初に選んだゲームが、有名なホワイトアルバム。理由はよく分からないけど、2の方が有名な感じ……? 今回は1作目をプレイしました。
記事タイトルにもあるように、攻略したのはパッケージの二人。
赤の森川由綺と、青の緒方理奈。
普通のギャルゲーなら由綺とのお話が王道のトゥルーエンドになりそうなものですが、ホワイトアルバムのコンセプトとしては理奈とのルートもやはりメインと言ってふさわしい内容でした。
前提となる設定と、それぞれのルートに対する感想を書いていきます。
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目次
前提となる設定
私は何の事前情報もなくこのゲームをプレイ開始した訳なんですが、まず驚いたのが主人公の冬弥が彼女持ちという点でした。それも相手は今では人気アイドルの森川由希。
ここで気づくのは、このゲームが彼女持ちでありながら他の女性とのルートが存在する、浮気前提のゲームだということ。
ゲーム開始から1分でその前提を飲み込み、プレイスタートです。
ストーリーの基本としては、アイドルとして順調に人気を獲得していく由綺に対して、モニターのこちら側とあちら側、皆の森川由希と自分だけの由綺とのギャップに苦しむという展開でした。
主人公の冬弥は誠実な人間で、アイドルとして成長していく由綺を自分の都合で押さえつけたりせず精一杯応援していて、それだけに忙しくてなかなか会えない由綺に対して次第に壁を感じていくことになります。
芸能界というシビアな業界をテーマにしているからこその、寒々しい展開でした。
森川由希ルート
まず一番最初に攻略したのが、冬弥の彼女である由綺ルート。
彼女持ちの主人公として当然の行為として彼女との交流に対して特に時間を注ぎ、大事なイベントを逃さないようにしていたらこのルートに入りました。
由綺は非常に純粋な人間で、アイドルとして成長していくために日夜働き詰めている。
それゆえに物語が進み、彼女が忙しくなって行くにつれて冬弥は由綺に対して壁を感じるようになってしまうように……。
そしてコンテストに向け最も忙しくなり精神的な疲労も溜まり、冬弥とも出会えず寂しさがつのった由綺は、プロデューサーから告げられた「愛してる」という言葉とキスを拒めなかった。
しかしそれをきっかけに冬弥、由綺はお互いを信頼しているという言葉で縛り騙していたことに気が付き、もうお互いに会ったり、心を伝え合うことに躊躇なんてしないことを決意し、結ばれる。
このルートでは社会のしがらみというものを強く感じました。
忙しいから由綺と一緒に過ごす時間はあまり取れないし、大事なコンテスト前は会うことすら難しい。
冬弥が疲弊していく由綺をまともに支えてあげられなかったのだって、実際は由綺の夢を大切にしているからです。本当はすぐ近くにいてずっと支えてあげたいけれど、由綺の夢を考えれば厳しいレッスンを止めさせることもできないし、大事な時期に会うことだって本当は由綺のためにならないかもしれない。
結局色んなことを考えすぎて、縛られて、動けなくなって。
そして最悪な事態に陥るまで、冬弥は行動に移ることはできなかった。それは誠実な彼なりに悩んだ結果であり、正直責められるようなことではなかったと思います。
ただあくまでお互いに、言葉が足りなかったのでしょう。
限界が来てようやく2人は心の底にため込んでいた思いを伝え合うことができましたが、そうでなければ、いくら2人が思い合っていてもジリジリと別れの未来に向かっていくことになってしまったのではないでしょうか。
別ルートの結末というのはそれが早まっただけ、ということかもしれませんね。
まあ何にせよ、このルートの英二さんはとにかくダメでしょ、と思う。
とりあえず由綺を好きになってしまった点は仕方ないかもしれないし、コンテスト前に由綺を囲い込むような形になったのは音楽家としての熱意から来るものとしても、結局コンテストの前日に愛してるとか言っちゃうのはダメでしょう……。いやもう、ダメでしょう。プロデューサーとしても由綺のコンディションを損ねるし、嫌だなーとしかさすがに思えません。
大事な時期に由綺と子供じみた恋愛ごっこを繰り広げる冬弥を邪険にしていたのも、あくまで独身女性である由綺に対して自身の持つ権力を使ってアプローチしていたのも、まだ「大人」な所として許容できますよ。嫌な奴だとはこの時点で思ってますけどね。
ただコンテスト前に手を出しちゃうのは、本人も激務の中で疲弊していたとか、この機会を逃せば由綺を近くに置いておけないとか、いろいろ理由(言い訳)があるんでしょうが、これは正直「引くわー」と言いたくなる案件ですよ、本当に。
RPGのラスボスがしょうもない敵だったらガッカリするように、「大人」としてあくまで妥当な障害だった英二さんが一気に子供じみてホントもう失望ですよ、これ。はい。
ただそうした黒い部分を除けば、由綺ルートは振り返って見ると王道ストーリーだったなぁという印象ですね。
障害を乗り越え、未来に進んでいく二人の姿はまさにハッピーエンドと言っていいものでしょう。
理奈ルート
問題のルート。と言いつつ、由綺ルート以外は全部問題のルートですけど。
正直、浮気展開(ストーリーとして嫌いじゃないしむしろアマガミ好きBADとか好きだけど、でも抵抗がある)と言うことで興味のあるキャラだったものの2周目まで攻略を控えてきましたが、2周目では早速理奈ちゃんとの親交を深めていきました。
理奈ルートでは中盤でクリスマスイブを由綺と一緒に過ごすことも由綺ルートと共通していますが、その後大晦日に理奈ちゃんが会いに来てくれたり、コンテストに向けて様々なイベントが起こるのが特徴。
コンテストに向けて英二さんが由綺にばかり力を注ぎ、信じていた支えを失い崩れそうになっていた理奈のことを次第に愛さずにはいられなくなっていた……という流れです。
しかしこれがもう、ものすごく心惹かれました。
正直ゲームだからというのはありますが、それにしても1周目に頑張って攻略した、主人公の彼女である由綺のことを裏切るのにまったく抵抗を感じなかった。
それはなぜか。
それは緒方理奈という人物が魅力的だったのもありますが、やはり主人公に感情移入して「ここで理奈ちゃんを支えてあげなきゃ!」という気持ちにさせられたのが大きかったです。
いやホントに、主人公は誠実で優しい人間なのですが、だからこそ目の前で苦しんでいる理奈を放っておくことなんてできるはずもなく、まさに勢いで浮気しちゃった感があります。
由綺を好きでいるのは変わらないのだけど、それ以上に理奈に対する愛情が深まっていってしまう訳なんですよね。
……だからといって私個人は浮気を肯定することはないのですが、しかし「こりゃあ主人公みたいに浮気とかしそうにない優しい人も、優しいが故にずるずる浮気しちゃうなぁ」って思いましたもの。もちろんこれはゲーム故、相手は魅力的なトップアイドルだからというのもありますが、いやでも現実でも状況によれば……とか。
緒方理奈という人間が主人公の立場から見て非常に魅力的に映ったのも、ただトップアイドルになれるだけの容姿だとか、「あの緒方理奈」が実はこんなにか弱い少女だったというギャップだけではなく、それこそ主人公の立たされた状況にまさにピッタリの相手だったからというのが大きいんですよね。
冬弥は由綺という彼女がいますが、彼女は今まさにアイドルとしての階段を上って、遠くの世界に行ってしまいそうになっています。そしてそんな彼女を支えることは自分にはできず、彼女には今まさに緒方英二という天才プロデューサーが付いている。
理奈もずっと近くで支えてくれた兄である英二が離れて行ってしまう寂しさを抱いています。
理奈が兄の話をするのを見て、私は「理奈ちゃんはまるで、ギャルゲーでルートを選ばれなかった妹ヒロインのようだ」と感じました。たった一人信じられる兄が離れ行ってしまう様子は、痛々しいものがあります。
そして同じような大切な人が離れて行ってしまう寂しさを抱いていること以上に、理奈は由綺と真逆なのです。
冬弥にとって、由綺は身近な人物だったのに、もう今では遠くに行ってしまいました。
逆に理奈ちゃんはついこの間まで遠くの世界の住人だったはずなのに、自分の側で素の弱い姿をさらけ出す身近な少女となっていたのです。そして彼女は自分の支えを必要としている……となると、もう愛しくて。
理奈ちゃんと結ばれたのが良いエンドだったのか、そしてエンディングの先の未来で二人は幸せになれるのか、それはプレイヤー自身で判断するしかないでしょう。
アイドルとして生きてきたこれまでの理奈が失われてしまったことは、確かに一つの喪失です。エンディングではアイドルに戻ってもいい、なんて言っていますが、個人的な想像としてはもうアイドルとしての緒方理奈に戻ることはないのかなぁ、と思います。
アイドルとしての喜びと、誰かと愛し合う喜びも、比べることのできないものでしょう。
お互いに嫌いになったわけではない由綺と冬弥だって、このルートではもう深いつながり合うことはできないでしょう。
良し悪しを決めるのはプレイヤーです。
グッドエンドもバッドエンドも、ゲーム内ではなにも言いませんからね。
けど、私の目にこのエンディングはとても幸福なものに映りました。まだ結ばれて数ヶ月後のシーンしか、私たちには覗くことはできません。けど理奈ちゃんのこのような幸せがこれから先も続けばなぁ、とそっと祈りたくなるエンディングとして私の心には残りました。
良いルートでした。
なお、このルートで一番すごいのはコンテスト前日に理奈が由綺に対して「彼と寝たの」と打ち明けるシーンだと思いますが、なんかもう、本当にすごいシーンだよなぁという感想しか言えません。
理奈ちゃんが由綺に対して打ち明けたのは、冬弥を愛すること、罪を背負うこと、いろんな覚悟ゆえの行動だったのでしょう。しかしその言葉のインパクトが本当にすごい。
こうして理奈ちゃんが憎まれ役を買って出てくれたおかげで冬弥と由綺の会話は、お互いに事態を把握した上での極めて冷静な話し合いとなりました。
本当に理奈ちゃんは最高のヒロインだよなぁ。けど主人公は結局浮気だし、頼りないところもあるし、はぁ……。幸せになってほしいものですよ、ホントに。冬弥のことをほったらかしにしていた由綺と違って、理奈ちゃんは冬弥のことを放さないでいてくれそうですから、大丈夫……なのかな。
うん。
あー、後日談が欲しい。
他ルート
他はまだクリアしていません。
たぶん全部のルートはやらないと思うんですけど、年下のマナちゃんと最後のアイドル小夜子、そして美咲さんルートくらいはやるかなぁといった感じ。
とりあえずホワイトアルバム、メイン2ルートはクリアしましたが本当に良かった。
王道作品とは違いますけど、オススメです。