「友人キャラは大変ですか?」1,2巻の感想。突き抜けた茶番が面白い作品

友人キャラは大変ですか? (ガガガ文庫)

伊達 康 小学館 2016-12-20
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 いやぁ、面白い作品でした。
 
 夜中でテンションが上がっていたからかもしれないけど、何度も声に出して笑ってしまうくらいには楽しい作品でしたね。
 ここ最近ではサークルクラッシャーのあの娘、ぼくが既読スルー決めたらどんな顔するだろうとこれが笑える作品としてよくできていたと思います。
 
 この作品は主人公を立たせることに生きがいを見いだす小林が、日々隠れて世界を守り続ける火乃森龍牙の友人ポジションにどうにかこうにか徹しようとする物語です。
 自分はあくまで脇役だと言い続ける小林ですが、序盤で明かされるだけでも不良少年を学校のボスにさせつつ、その少年が勝てないような相手は自分が倒して友人の手柄にしたりとか、ある少年を学校トップの成績に上げようとして自分が付きっきりで勉強を教えてあげたり(小林は平均点を取る)とか、もうハチャメチャすぎるスペックを備えています。
 
 その異常なスペックは世界を守るために戦い続ける龍牙の友人として振る舞う中でも発揮されるのですが、うっかりミスから龍牙たちの秘密を知っていることが知られてしまってから物語はややこしい展開へと進んでいきます。
 小林は龍牙の友人キャラとしてやっていきたいはずなのに、明かされる真実の数々や、龍牙たちと比べてなお特異な小林のスペックから、だんだんと雲行きが怪しくなっていき……。
 
 そして小林は友人キャラに立ち返ることができるのか!? という内容ですね。
 話の内容も主人公も、メタメタしいです。


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 1巻では龍牙に隠された秘密の暴露や、その後の展開が非常に馬鹿馬鹿しくて面白い作品でした。
 
 龍牙たちにとっては日々の戦いは自分たちの務めであり本気のものですが、外野の小林にとってはただの龍牙を主人公としたストーリーでしかないわけで、非常に軽々しく描かれているのがかえって良かったです。
 
 そして読んでいて楽しいのが、後半からの小林以外のキャラ崩壊の数々
 龍牙なんか、序盤の面影とか全くなくなっちゃうのがひどい話です。
 後半の、ヒロインズとの急激なフラグ立てなんかも流れでもう展開はバレバレな訳ですが、それでもネタのキレやバカバカしさからして楽しいものでした。雪宮さんとか、正直この物語の中では地味なキャラなんですが、お嬢様キャラなのに微妙にアクがある部分とかが最高に笑えましたね。ネタのどんぶりにもなお笑う。
 
 
 2巻は小林の秘密が明らかになり、それもふまえて1巻で明らかになったあれこれの続きが描かれるわけですが、これもまた一々笑いを誘うシーンばかりでした。

 そして物語の畳み方は、本当にもう、茶番劇としか言いようがないです。しかしその茶番が楽しい。
 
 
 言うならばそう、これは文化祭の劇のようなものです。

「あの人がああいうキャラを演じているから面白い、笑える」

 そういうのが、この物語の中で起こっているようなものでしたね。
 読者である私たちは物語の真相とか、小林がなに考えているのかとかを知っているわけですが、何も知らない龍牙たちに対して小林がどう立ち回るのか、どう演じていくのかというのが端から見ていてとてもおかしく感じられるのです。
 
 
 こうも面白いと早く次の巻が読みたいところですが、次の巻ではタイトル通り、友人キャラとして小林は活躍できるのでしょうか?
 いろいろ楽しみに待ちたいです。

友人キャラは大変ですか? 2 (ガガガ文庫)

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